“Sphinx Legacy” 編纂記 第75回

加藤英夫

出典:”Sphinx”, 1910年10月 執筆者:A.M. Wilson

身重差75cmものアシスタントを使っていたマジシャンが表紙に掲載されました。

今月号の表紙に掲載されているマジシャン、A.L. Salvailはアメリカの一般の人々にとって、おそらくもっともやり手のカーディシャンでありマジシャンである一人でしょう。彼は20年まえにNew Hampshireの小さなワゴンサーカスで働き始め、4年の修行を積んだのちに、カードの扱いとマジックを専業とするようになりました。彼の巧妙さが英国のセレブマジシャンVassellの目に止まり、東部の小さな劇場に出演するように誘いました。それはSalvailにとって初めてのバラエティショーとの出会いでした。’Saudust Ring‘(意味不明)への情熱が彼を虜にしていたため、彼はふたたびワゴンサーカスに戻り、そこでそれからの15年を過ごしました。その間、何100万人の大衆の前で演じたのです。いまから3年まえにヴォードビルの有力者がSalvailを冬のシーズン、大きな劇場への出演を誘いました。

この2年間というものは、Salvailはすべてのショーで大人気を博しました。ヴァラエティショーでどのようなアクトが受けるか知っていた彼は、彼のアクトをどんどんパワーアップしていき、1910年~1911年のシーズンは決定的な呼び物芸を完成させました。彼は背丈が2m40cmもある、Long Tomというアシスタントを使い、背の高さを生かしたコメディを創作したのです。

Salvail はのちにYankee RobinsonAnnexが興行を始めたときにマネージャーとなり、サイドショーとして最大のものとし、もっとも成功を収めることに成功いたしました。

Salvailの身長165cmに対して、アシスタントの身長は8フィート(240cm)だとのことです。そんな人が存在し得るか、いままでギネス最高身長を確認したら、1918年生まれのイギリス人、Robert Wadlowという人が、272cmでした。以下の写真はguinnessworldrecords.jpサイトから引用したWadlowの写真です。

240cmもあるアシスタントを使って、どのようなアクトをやっていたのか知りたいところですが、どこにもそのような情報は見つかりませんでした。顔が似ている普通の身長の人を使って、身長が伸びるイリュージョンでもやったら面白いと思いました。ミゼットを巨人に変えるイリュージョンも面白いかもしれません。

(つづく)