三代目天一について
森下洋平
三代目天一について言及された新聞記事がありましたのでご紹介します。
見つけたのは「二代目松旭斎 天一の奇術具の行方?お家再興を目ざす天栄が涙ながらの訴え」という1935年(昭和10年)2月4日に掲載された大北日報の記事です。
二代目天一(天二)の妻・天栄(服部達子)が、借金の抵当に取られた天二の奇術道具を無断で売り払われ途方 に暮れている…と いう内容です。それによると神戸市に住む天二の実子(16歳の娘・きみの、15歳の息子・勝一)に三代目天一を継がせたい ということも書か れていました。
松山光伸さんの書かれた東京マジックの「夭折した三代目松旭斎天一」に照らし合わせると、きみのは三代目の 法要で施主をして いますので、やはり息子・勝一が三代目である裏付けになるかと思います。
1935年時点で15歳ということは、生年は1921年、そうすると享年は満年齢26、27歳です。徴兵もあったでしょうし、実質的な活動期間があったとしても2、3年ではないでしょうか。
初代天一と異なり殆ど言及されない二代目天一(天二)がアメリカから持ち帰った奇術道具の行方も気にはなり ますが、何より、 諸説ある三代目の実態解明に何らかのご参考になればと思います。
出典:大北日報 ,1935年2月4日
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