“Sphinx Legacy” 編纂記 第12回

加藤英夫

今回は、イリュージョンの仕掛けがパテント登録された例のひとつを紹介いたします。

出典:”Sphinx”,1913年6月号 執筆者: A.M. Wilson

Mysterious Edna is as mysterious as ever in the way she floats around in the air at the rear of the stage in the dense black-green of the draperies. There are several ways by which ingenious minds might figure out how Edna does it. After performing a number of graceful evolutions the pretty woman tripped to the footlights for a final bow and was greeted with a houseful of appreciation. This was Edna’s second appearance in this city.

このイリュージョンは、図のような女性が縦横無尽にステージ上をとびまわる、というものです。

調べるとEdnaは、Bill Woodというマジシャンの娘であり、父のBill Woodは1908年に亡くなっているので、上記の記事での報告は、娘が父のショーを受け継いで演じていたものと思われます。

“Magicpedia”には、このイリュージョンがPatent申請されたと書かれていて、登録番号も記載されていましたので、Patent番号から登録申請書を見ることができました。以下の図はその挿絵の1枚ですが、これによって、このLevitationが、Copperfieldのようにワイヤーで吊るシステムではなく、’Aga’イリュージョンのように舞台中幕から出た棒によって支えられ、棒が上下に動いたり回わるようになっているとわかりました。

つぎの図は、女性を支えている棒と背景がいっしょに左右に動く仕掛けを示しています。棒の上下の動きと合わせて、上下左右だけでなく、斜め方向など、そして体の回転を加えて、様々な動きが可能となっています。

このイリュージョンに使用する、体をサポートするコルセットのパテントは、以下のアドレスで見られます。

https://patents.google.com/patent/US415085A/en

“Sphinx Legacy”では、記事に関連した情報を詳しく解説している優良サイトを見つけた場合には、このようにサイトアドレスを記載しています。そのようなものを含めると、”Sphinx Legacy”は、ページ数よりはるかに多くの情報と知識を提供していることになります。

(つづく)