“Sphinx Legacy” 編纂記 第40回
加藤英夫
たしか松旭斎広子師が演じられていたと思いますが、記憶違いかもしれません。キャビネットの中に入れられた女性の手足が伸びるというイリュージョンが、100年まえに存在していたことがわかった記事です。
出典:”Sphinx”,1922年10月号 執筆者:A.M. Wilson
A trade papers during past month contained the introduction of a new illusion having been shown in London by P.T. Selbit. This illusion, presented under the tentative title of “The Elastic Girl,” is of the following1 effect: A lady assistant is fastened to a large cross, arms outstretched and fastened to the cross arms of the cross, feet and head securely fastened to the upright portion of the cross. The cross by mechanical means is caused to expand in all proportions and becomes almost twice as large as it originally was.
私はこのマジックを初めて見たときから、誰でも種がわかるに違いないと思ってきました。このようなマジックこそ、’Too Perfect Theory’によって、現象から方法が想像がつくというものではないでしょうか。
上の写真は、Selbitが考案したタイプであり、Thurstonが使っていたものだそうです。
最近では、Selbitタイプのものが演じられるのはほとんど見られません。以下の写真のようなバリエーションがよく演じられます。ただ伸びるだけでは不思議さが弱いですが、このやり方は不思議さが増すだけでなく、面白さが増していると思います。
‘Elastic Lady’の動画を探していたら、面白いコメディバージョンを見つけました。
よくマジックフォーラムなどで、若い人が昔のマジックを見て、”it’s dated”(時代遅れ)というような表現で軽視する発言をします。Dai Vernonのマジックを見てさえも、そのようなことが言われることがあります。マジックの歴史をしっかり学べば、現代のマジックが昔のマジックから影響を受けていることがわかり、そのような発言は自分の知識と見識の無さを示していることに気づくのではないでしょうか。
このイリュージョンについては、かのマスクマジシャンが種明かししている動画があります。マスクマジシャンからマジックを学ぶというのは気が引けるかもしれませんが、よろしければご覧になってください。
(つづく)