“Sphinx Legacy” 編纂記 第70回
加藤英夫
出典:”Sphinx”,1909年11月号 執筆者:広告
“MAGIC”というタイトルのマジック雑誌は、Stanyonが1900年前後に発行したものと、現代のStan Allen発行のものがあることは周知のことですが、もう1冊同名のものがあったことがわかりました。この号に発行の宣伝が掲載されています。
第1号~第5号までの合本が以下でダウンロードできます。
https://archive.org/details/MagicTheMagazineOfWonder
この雑誌の1910年3月号に、’Langiro Card Pack’という商品の広告があります。その広告を貼り付けておきますが、現象説明説明を読み始めたら、もしかしたら’Svengali Deck’と同じものかと思いました。ナイフを相手にデックの中にさし入れさせ、ナイフの上、もしくは下のカードを当てることができるというのです。しかしながら’Svengali Deck’であるとしたら、下のカードはフォースカードですから当てることができますが、上のカードは26枚違うカードなので、当てることができません。
下のカードの裏面に上のカードが何であるかわかるマークがつけられているのかもしれないと思い、’Langiro Card Pack’で検索すると、”Magicpedia”で説明されていました。まずその名前の由来に驚きまし。’Langiro’とは、’Original’を逆順にした単語なのです。そしてその実態は、’Menetekel Deck’であるというのですが、もちろん通常の’Menetekel Deck’ではなく、裏面にマークがあるものを使うことはあきらかです。
‘Svengali Deck’にマークをつけてやろうとすると、下のカードはつねに同じカードになってしまいますから、繰り返し演じることはできません。‘Menetekel Deck’であるならば、繰り返し演じることができるわけです。
しかしながら’Menetekel Deck’のシステムで作ると、デックをリフルしてナイフを入れさせたときに、上のカードの面が相手に見えます。それで下のカードを当てるとすると、見えたカードの名前を言うことになります。ですから、上のカードと下のカードを、たとえば’インビジブルデック’におけるペアのようにしておけば、その問題は起こりません。下のカードのマークを見れば、上のカードもわかります。奇数の方を上にしたり下にするのをランダムにセットするようにすれば、スプレッドしたときに赤黒交互にはなりません。表向きでリフルシャフルすれば、ペアは離れません。
(つづく)