“Sphinx Legacy” 編纂記 第65回

加藤英夫

出典:”Billboard”, 1944年10月21日 執筆者:Bill Sachs

Bert Easleyは、10月13日から、Kansas CityのTower Theaterに出演しています。

この一文を見て、Bert Easleyの名前に見覚えがあったので検索したら、彼の紹介文と以下の写真も見つかりました。セロがテレビでやっていた芸が、古くから演じられていたことがわかります。紹介文の一部を引用いたします。

酔っ払ったキャラクターで演じるマジシャンというと、今日ではCardiniがよく挙げられますが、Bert Easleyもそのような演技で当時人気を博していました。Cardiniのエレガントなスタイルに対して、Easleyはユーモアを動作で表現するスタイルでした。彼は演技中に、体を斜めに傾ける得意芸としていましたが、それは仕掛けが施されたタップシューズを床のペグに引っかけることによってやっていました。しかしそれはBertが創案したものではありません。それ以前に、巡回公演された’Pinochio’の演劇で使われたものです。ポータブルバージョンについては、Bertが考案したと彼は述べています。それは可動式のボードを使うものです。体を傾けるだけでなく、パントマイムで飛び込みや泳ぐ動作をして見せます。

上記の説明では、床についているペグに引っかける、と書かれていますが、写真を見ると床のペグに引っかけてはいません。
このマジックを検索すると、たんに’The Lean’と呼ばれているようです。”Magic Cafe”でこのマジックについてのスレッドから、参考になることを引用しておきます。

投稿者:Doug Malloy

‘Lean’はおそらくマジックの中でもっとも面白いビジュアルイフェクトではないでしょうか。Billy McCombと私は、このマジックの歴史が1800年代まで遡ることを見つけました。

Ramaseysというマジシャンのショーの一員に道化師がいましたが、彼がLeanに類することをやったのです。そのあとヴォードビルでよく使われ、Ringling BrothersのClown Collegeでも指導されました。ひとつのバージョンが古い”Genii”に書かれています。しかしながら、’Lean’をひとつのアクトにまとめたのは、間違いなくBert Easleyです。

最初に使われた方法では、靴に止め金具がつけられており、とても大きな木の上でそれを引っ掛けて行うものでした。私は長年ポータブルでで確実にできる方法を研究し、それを実現させ、いまでは自分で使うとともに、販売もしています。私のやり方では、手が床に届くまで傾くことができます。やり方は難しくありませんが、慣れるにはある程度の練習がいります。

投稿者:Doug Malloy

これはメンバーが舞台に置く仕掛け板についての質問に対する、Malloyの回答です。

床に薄い鉄板を敷いておく必要がありますが、それは目立つものではありません。その鉄板を隠す必要があるかという質問をよく受けますが、私がずっと使用してきた経験からは、これはマジックの現象というよりも、ビジュアルなスタンツみたいなものですから、鉄板を隠す必要はないと結論しています。鉄板の存在を知っている人でも、「どうしてそんなことができるんだい」とよく言われます。

これは仕掛け板がどのぐらいの重さですか、という質問にDoug Malloyが答えたもの。

観客の反応からすれば、約31kgの鉄板を運ぶ価値はあります。私はどこで仕事をするときも、つねにこれを持っていきます。運ぶにはたんに車付きカートを使っています。

以下はDoug Malloyによる、Magic Castleでの’The Lean’の演技です。

 

以下のサイトには、マイケル・ジャクソンが使った方法が説明されています。

Michael Jackson’s patent

(つづく)

“Sphinx Legacy” 編纂記 第65回” に対して4件のコメントがあります。

  1. 中村安夫 より:

    ムーンウォークとともにマイケル・ジャクソンのダンスの代名詞となった「ゼロ・グラヴィティ(Anti-Gravity Lean)」の現象です。マイケル・ジャクソン自身が二人の共同発明者とともに特許を出願していました。
    米国特許番号5255452号”Method and means for creating anti-gravity illusion”(反重力イリュージョンを創造する方法と手段)で1992年に出願し、1993年に登録されています。特許の権利期間は出願日から20年間で、本来であれば2012年まで有効でしたが、記録を調べると特許維持料不納のため2005年に権利は消滅していました。
    なお、この特許は日本には出願されていませんでした。

    1. 中村安夫 より:

      マイケル・ジャクソンのゼロ・グラヴィティ(Anti-Gravity Lean)」が最初に公開されたのは1988年のアルバム『Bad』に収録された「スムーズ・クリミナル」 (原題:Smooth Criminal)のPV映像の中でした。公式ビデオが下記から視聴できます。7分あたりにご注目ください。
      ■Michael Jackson – Smooth Criminal (Official Video)
      https://youtu.be/h_D3VFfhvs4?list=RDh_D3VFfhvs4

  2. 加藤英夫 より:

    中村さん、コメントの記載有り難うございます。特許維持料ということを初めて知りましたが、日本でもそのようなことがあるのでしょうか。ある場合、最初の有効期間がどのぐらいで、維持料を払うとどのぐらい継続されるのでしょうか。

    加藤英夫

    1. 中村安夫 より:

      加藤さんのご質問にお答えします。

      特許維持料は世界共通の制度です。

      日本の場合は、年金(特許料等)と呼ばれていますが、以下の通りです。
      ■平成16年(2004年)3月31日までに審査請求をした出願
      第1年から第3年まで 毎年 10,300円+(請求項の数×900円)
      第4年から第6年まで 毎年 16,100円+(請求項の数×1,300円)
      第7年から第9年まで 毎年 32,200円+(請求項の数×2,500円)
      第10年から第25年まで 毎年 64,400円+(請求項の数×5,000円)

      ■平成16年(2004年)4月1日以降に審査請求をした出願
      第1年から第3年まで 毎年 4,300円+(請求項の数×300円)
      第4年から第6年まで 毎年 10,300円+(請求項の数×800円)
      第7年から第9年まで 毎年 24,800円+(請求項の数×1,900円)
      第10年から第25年まで 毎年 59,400円+(請求項の数×4,600円)

      ちなみに米国特許の場合のPatent Maintenance Fees(特許維持年金)は、下記になります。(2021/3/1改訂)
      1回目 登録日から 3年~3.5年 $ 2,000
      2回目 登録日から 7年~7.5年 $ 3,760
      3回目(満了まで)登録日から11年~11.5年 $ 7,700

      日本と同様に登録日から10年を超えると、特許維持料が2倍以上になりますので、マイケル・ジャクソンも支払いを停止したものと考えられます。

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