“Sphinx Legacy” 編纂記 第99回

加藤英夫

出典:”Sphinx”,1935年5月号 執筆者:Bernard M.L. Ernst

Cardiniが先月New YorkのPalace Theaterに出演したとき、ロビーに巨大なポスターが飾られました。その初演の日、SAMの本部はCardiniを歓迎すべく多くの会員が着飾って彼を迎えました。そのときの彼のアクトは”Billboard”の批評家が、”Cardini”は彼のカードとシガレットのアクトによって、New Yorkのマジック界に君臨しました”と書きました。

彼の演技の最中は、観客席はまるで静寂を保っていましたが、彼が最後にバウを取った瞬間に割れるような拍手が起こりました。それは彼のアクトが観客を魅了したことの証しでした。

Cardiniはこのあと10月からの海外ツアーの皮切りとして、BerlinのScala Theater出演が決まっています。いままでNew Yorkの異なる5つの劇場に続けて出演してきました。彼はアクトの中に、火のついたシガレットやワイングラスのプロダクションなどの新しい演し物を加えてきました。

彼がとくにセンセーションを起こしたのは、 Biltmoreホテルで開催された、New York宝石社のJeweler’s Twenty-four Karat Clubのパーティで、500人の参加者のために演じたときのことです。

彼はいま、Frederick Jacksonがプロデュースするミステリー劇、’The Ascending Dragon’に出演するためのリハーサルをやっています。”New York Times”の最新号によると、それは謎めいた殺人事件を解決するためにマジシャンが活躍するというミステリー劇で、Crosby GaigeもしくはJohn Golden & Al H. Woodsがスポンサーとなると言われています。

Cardiniを賞賛する記事は多くの号で見られますが、この記事からは、Cardiniの仕事ぶりが光り輝いているような感じが伝わってきます。私がこの記事を取り上げたのは、2番目の段落が書かれていることです。Cardiniの演技中には拍手が起こらず、終わったときに盛大な拍手が起こるという指摘を読んで、私がいつも感じていることを思い起こしました。

アートというものは、ひとつのアクトの演技中に拍手を得るようなものであってはならないと思っているのです。たとえば音楽においては、いくら曲の途中で盛り上がりがあったとしても、そこで拍手をするものではなく、ひとつの楽章が終わったときでさえ拍手をするものではありません。あくまでも曲が完結して、演奏者の動きが止まったときが、拍手が起こるべき瞬間であるのです。

演技途中に拍手が起こってそれに対応した間をとるということは、それは流れとして予期していなかった間をあけることになります。一連の演技が続けて演じられて、ひとつのアクトが完結するようなものは、途中で拍手によって中断されてはなりません。客が拍手をしてそのような間を開けることも御法度ですし、ましてや演技者が拍手を求めるようなことをしてはならないのです。

この記事の中に、Cardiniがミステリー劇に出演のためリハーサルの準備をしている、と書かれていますので、’Ascending Dragon’でこのあとの”Sphinx”を検索したら、8月号につぎの記事がありました。

Cardiniは何週間かChicagoのPalmer HouseのEmpire Roomに出演したあと、Chicago Theater で1935年8月2日からの1週間、合計出演料$650で出演しました。そしてJohn Golden & Al H. Woodsがプロデュースする’The Ascending Dragon’に俳優としてのデビューを控え、そのリハーサルのためにNew Yorkに戻ってくる予定です。それがBostonで初演されたあと、Broadwayに戻ってくることになっています。

8月の段階になってもまだリハーサルをやっているというのです。ずいぶん長いリハーサルですね。そして10月号になってようやくつぎの記事が現れました。

Cardiniは、1935年9月30日、BostonのPlymouth Thaeaterにおいて、’The Ascending Dragon’の主役としてデビューを果たしました。New York公演はRitz Theaterにおいて10月15日に始まります。リハーサルはThomas Mitchellが指揮をとり、キャストとして、Edith King、Nicholas Joy、J. P. Wilson、Frothingham Lysons、Sheila Hayes、Charles Jordan、Lucian Self、Wylie Adams and Estelle Mitchellが参加いたしました。

“liveauctioneers_com”に以下のポスターのようなものがありましたので、引用しておきます。主役であったことがわかります。

このポスターには、以下の文章が添えられていました。

Frederick Jacksonによる’The Ascending Dragon’は、Cardiniのヴォードビルアクトで始まりました。彼はそのアクト場面以外にも、’Question-and-Answer’のマインドリーディングも演じました。質問はSwanが客席に降りて客から受け取る役をやりました。

この演劇の筋書きがどのようなものであったかは、John Fisherの”CARDINI, The Suave Deceiver”に詳しく解説されていますが、あまりにも詳しく書かれているので、要約する気力は起こりませんでした。お許しください。

(つづく)