第2回マジックフォーラムTOKYOレポート
- 日時 2026年9月21日(月・祝)
12:30開場 13:00開演 16:15終了 - 会場 江戸東京博物館小ホール
- 参加費 3000円(大学生以下1000円)
- テーマ「マジックと子ども」
- 登壇者
河合 勝 氏(元愛知江南短期大学教授)
門間 裕史 氏(公立夜間中学校教員・MN7会友)
藤城 亜砂(ラジオパーソナリティー・MN7メンバー)
渋谷 剛一(柏マジッククラブ・MN7代表)
太田 圭介(松戸奇術会・MN7会友)
中村 安夫(横浜マジカルグループ・MN7メンバー)
主催:マジックネットワーク7(MN7)
目次
■第9回 第1部①「子どもが喜ぶトーク・マジック」(河合 勝)
■第11回 第2部②「学校教育におけるマジックの活用事例と可能性」(門間裕史)
■第12回 第2部③ パネルディスカッション『子どもと手品の出会いと地域クラブの役割』(渋谷剛一)
■第13回 第2部③ パネルディスカッション『子どもの心を掴む演出とキャラクターの力』(太田圭介)
■第14回 第2部③ パネルディスカッション『出会いから広がる世代を超えた繋がり』(中村安夫)
■第16回 質疑応答と閉会のご挨拶
■第17回 フォーラム終了
■第18回 打ち上げ懇親会
詳細

開催日の数日前に台風25号情報が入り、情報収集に追われました。9/21(月・祝)当日の交通機関への影響を危惧しましたが、全面ストップにはならないと判断し、予定通り開催することで準備を進めました。
残念ながら、千葉、埼玉方面の方々は、電車運休や大雨警報等の影響で20名が欠席されました。
幸い、登壇者とスタッフ計16名は全員参加できました。
関係者は8:50に江戸東京博物館中庭口に集合。9:00に入館し小ホールの会場設営を開始しました。
【写真:岡村真衣】

まずは、参加者に配布する資料の封筒詰めと受付準備。配布物は、参加者特典の河合勝著『子どもとマジック』(B5判カラー76ページ)、プログラムパンフレット、お土産手品、河合勝氏の新聞記事の4点セット。
【写真:門間裕史、岡村真衣、清水豊彦】

プロジェクターの映像確認、マイクや照明のテストなどを行い、第2部、第1部の順でリハーサルを実施。12:30開場の1時間前には準備を完了しました。
最後に登壇者、スタッフと一緒に記念写真撮影。
【写真:中村安夫、岡村真衣】

スタッフは楽屋で早めの昼食。今回は、おにぎり等の弁当を各自持参としました。
【写真:中村安夫】

開演前と休憩時間に以下の刊行物を販売しました。
(1)MN7記念誌バックナンバー
・「天海の足跡」加藤英夫・河合勝・氣賀康夫・小川勝繁(著):1000円
・「天海と仲間たちとの想い出」加藤英夫・宮中桂煥(著):1000円
・「小野坂東氏の業績研究」マジックネットワーク7(編):2000円
(2)(公社)日本奇術協会季刊誌「NEWワンツースリー」(バックナンバー):1500円/冊
【写真:中村安夫】

従来のMN7主催イベントの参加者は、ほとんどマジック関係者でしたが、今回のテーマが「マジックと子ども」ということから、教育・保育関係者や保護者の方も参加されました。
■第7回 開場
予定通り、12:30に開場。お客さまが続々と入場されました。マジック関係のご招待者は全員出席。Dr.レオン(日本奇術協会会長)、鈴木徹(テンヨー副社長)、下村知行(下村教育企画 代表取締役)、古谷敏郎(NHKアナウンサー)、藤原邦恭(マジッククリエーター)、朝日煌大郎(武蔵高等学校中学校奇術部OB(一橋大学)、棚橋亮介(一橋大学生)。教育・保育関係では、鈴木みゆき(國學院大學名誉教授)、細谷優治(墨田区子ども子育て支援部子ども施設課長)、西村孝幸(墨田区私立保育園協会会長)。残念ながら岸川紀子様(墨田区副区長)は、台風対策公務が入ったため欠席されました。
【写真:中村安夫】

主催団体である「マジックネットワーク7(MN7)」の代表として、フォーラムの開会(13:00〜)にあたり渋谷剛一氏が挨拶を行いました
【写真:清水豊彦】
■第9回 第1部①「子どもが喜ぶトーク・マジック」(河合 勝)

2025年に愛知県芸術文化選奨文化賞を受賞された河合氏は、大学で25年以上にわたり手品の講義・実技指導を行ってきた教育と研究の第一人者です。フォーラムでは、実践と研究論文『教育に生かすマジックの研究』に基づく貴重な知見が提示されました。
💡 講演の主要ハイライト
1. 園児が見せる「生の反応」と成長に伴う心理変化
1991年に保育園で行った実演観察では、演技が始まると園児たちが身を乗り出して注視し、演者の動きに合わせて手や体を動かしたり、大笑いして仰向けに倒れ込んで喜ぶ激しい感情の発露が記録されています。
年齢による受け止めの変化: 幼児期の手品が好きな理由はほぼ100%「面白いから」であり、「不思議だから」という理由は出ません。小学生になると「不思議だから」や「演者がすごいから」という認識へ変化します。
心に残り続ける感動: 保育園で手品を見た子どもが13年後に大学で「あの時の手品のおじさんですよね」と声をかけてくれたエピソードが紹介され、手品が子どもの感性を育み、長年にわたり心に刻まれる体験になることが示されました。
2. 子どもを惹きつける具体演目とトークの工夫
ロープマジック『入れ替わる輪』: 赤と黄色のナイロンロープの輪が親指の上で瞬時に入れ替わる手品。トークで赤い輪を「イチゴの赤」、黄色い輪を「バナナの黄色」と子どもの身近な果物に例えるセリフ回しや、輪を結び合わせて祝いの場に応用する演出が解説されました。
数理マジック『くだもの当てカード』: 16種類の果物から1つを選んでもらい、4枚の窓あきカードで「有るか無いか」を尋ねて当てるマジック。背景には「1か0か」の二進法の原理があり、手品を通して論理的思考や算数的関心を育む工夫が明かされました。
3. 「話すこと」は技術であり実技である 手品における話し方は単なる種の説明ではなく、身体的トレーニングや発声訓練を伴う「実技」であると定義されました。デジタルではなくアナログな対話だからこそ、掛け声(「ワン・ツー・スリー」など)を通じて演者と子どもたちの間に温かい双方向の交流が生まれます。
手品を通した教育や子どもとのコミュニケーションのヒントが詰まった素晴らしい講演でした!
【写真:岡村真衣】

「第2回マジックフォーラムTOKYO」の第2部で発表された特別プログラム、藤城亜砂氏による絵本『10人のゴースト』の朗読と、その魅力的な内容をご紹介します。
💡 マジック×絵本!対極のコンセプトが融合した新発想
本作品は、マジックの法則「同じ手品は繰り返してはいけない(現象が分かって驚きが減るから)」と、絵本の特質「子どもはお気に入りの本を何度でも繰り返し読む」という対比から着想を得て制作されました。 題材となったのは、テンヨーの『ニューゴーストパズル』(考案:鈴木徹 氏)。
4枚のパズルを組む・裏返す・入れ替えることで、ゴーストの人数が10人→9人→10人→11人と変化する不思議な仕掛けが取り入れられています。
📖 心温まる物語のあらすじ
かつては違う命だった仲間たち: 昔々、10人のゴーストが仲良く暮らしていました。元は人間・動物・植物など異なる命でしたが、今は優しい魂として共に過ごしています。
愛犬ハチとご主人様の再会: ある日、1人のゴーストが声を聴き付け、命の終わりを迎えようとしている1匹の犬「ハチ」のもとへ向かいます。ゴーストは生前の「紳士(ご主人様)」の姿に戻り、「ハチ!すまなかった、私の方が先に行ってしまったのだね」と優しく抱きしめます。
絆と新しい仲間: 旅立った2人は星空へ登り、心配して泣いていたゴーストたちの元へ「ただいま、新しい仲間を連れてきたよ」と戻ってきます。
🌟 循環的な演出:「あれ、ゴーストは何人かな?」
物語のラストは「めでたしめでたし」で締めくくらず、あえて「あれ、ゴーストは何人かな?」という疑問で終わります。
これにより、子どもたちが「もう一度パズルを数えてみたい!」「どれがハチかな?」と自発的にパズルで遊び、親子で会話を楽しみながら、何度でも繰り返し絵本とマジックを行き来できる工夫が施されています。
【写真:岡村真衣】
■第11回 第2部②「学校教育におけるマジックの活用事例と可能性」(門間裕史)

「第2回マジックフォーラムTOKYO」第2部で発表された、公立夜間中学校美術科教員でアマチュア奇術家の門間裕史氏による感動的な実践報告をご紹介します!
教員歴約30年で学習塾・小学校・夜間中学など多様な現場を経験してきた門間氏(通称:もんまじっく)。10代〜50代、14か国籍以上の多国籍・多様な生徒が通う夜間中学での実践を中心に、手品(てじな)が教育現場で発揮するコミュニケーションの力を語りました。
💡 発表の主要ハイライト
1. 学校現場での手品実践:言葉や立場を超える「メッセージ」
🔴🟡🔵 3本のロープ『心は一つ』: 急遽帰国することになった外国人生徒のお別れ会で、3本のバラバラのロープの輪(①お別れする生徒、②その他の生徒、③先生)が1つの大きな輪になる手品を披露。「離れても心は一つ」というメッセージを伝えました。学級開きや着任式でも意味付けを変えて活用されています。
🧪 小5算数『平均水槽』: 量の違う4本のジュース(ペットボトル)を不思議に平らに揃える手品で、「平均=合計÷個数(平らに均す)」という算数の概念を直感的に印象付ける授業の工夫も紹介されました。
2. 学校で演じる際の「3つのこだわり」
メッセージを込める: 単なる仕掛けの披露ではなく、伝えたい思いを重ねる。
ミニマム(シンプル): 準備時間が不要で、いつでも短時間で演じられる。
子どもと一緒に楽しむ: 子どもの素直な反応や、成長に伴う論理的なツッコミも含めて対話を楽しむ。
3. 子ども自身が手品を演じる価値と変化
人間関係のきっかけ: 保健室登校だった不登校の生徒が、覚えたロープの手品を「担任に見せたい」と職員室へ向かい、一歩を踏み出すきっかけとなった事例。
多文化・異年齢の交流: 言語や文化が異なる生徒たちが文化学習発表会でチームを組み、ヒゲダンスやマジックを融合させた10分間のショーを創り上げた事例や、誕生日の仲間をカード手品でお祝いする取り組み。手品が言葉の壁を超えた「間を取り持ち、人前で輝く経験」を生み出しています。
4. 現代の子どもの現状と未来への3つの提言
現状: ChatGPTや動画で手品を独学するが変な手付きを覚えがちで、ネットで答えをすぐ求め群れたがらない傾向がある。
提言:
① マジックの入り口を増やす: ショッピングモール等で手軽に生の手品に触れられる場づくり。
② 他芸能との課題共有: 落語や伝統遊び等と同様に愛好家育成の課題を共に考える。
③ 良質な本との出会い: 自発的な探求や「間」の感覚を養う良書を届ける。
最後は、盲学校で手品を指導する万博氏の言葉「生まれて初めて手品と出会う瞬間は、一度しかありません」を引用し、子どもたちの「一度きりの感動の瞬間」を大切にしたいと結びました。
【写真:岡村真衣】
■第12回 第2部③ パネルディスカッション『子どもと手品の出会いと地域クラブの役割』(渋谷剛一)

「第2回マジックフォーラムTOKYO」の第2部パネルディスカッションより、柏マジッククラブ創設・顧問であり、マジックネットワーク7(MN7)代表を務める渋谷剛一氏の発表内容をご紹介します!
自身が子ども時代に受けた原体験から、地域で子どもたちを熱狂させる演出テクニック、そして地域マジッククラブが果たすべき「受け皿」としての役割まで、熱いメッセージが語られました。
💡 発表の主要ハイライト
1. 原体験:「体育館の魔法」と常識外の楽しさ
バケツコインの衝撃: 小学5・6年生の頃、学校の鑑賞会(体育館)で観たダーク大和 氏(推測)による「バケツコイン」で、見えないコインが音を立ててバケツに落ちる現象や手の中のコインが消える体験に強烈な衝撃を受けました。
学校授業との対比: 学校では毎日「常識的な考え方・論理的思考・当然の結論」を教わりますが、手品には学校では得られない「不可解な現象・常識外の楽しさ」があり、それが生涯心に残り続ける原点となりました。
2. 子どもを巻き込む演出:『紙玉投げ(フライングペーパーボール)』と秘密の共有 子ども向けショーでは、わかりやすさだけでなく「会場全体が参加できる条件づくり」が重要であると指摘。自身の得意演目『紙玉投げ』を例に、会場を熱狂させる仕掛けを明かしました。
役割分担: 舞台に上がった子には「君はみんなの代表で、あなただけに特別に見せるんだよ」と伝え、観客席の子どもたちには「君たちは僕と同じ仲間だから、種が分かっても黙っててね」と【秘密の共有】をします。
会場の一体感: この演出により、紙玉が男の子の頭を越えて飛んだ瞬間、会場全体が立ち上がって叫ぶほどの大騒ぎとなり、一体感とボルテージが最高潮に達します。
3. 受け手から「送り手」へ:地域社会人マジッククラブの役割
最も身近な受け皿: 子ども時代に「受け手」として衝撃を受けた人間が、大人になり地域のステージで「送り手」となる循環の大切さを強調。プロのマジシャンだけでなく、子どもたちに最も近い場所にいる「地域の社会人マジッククラブ」こそが、生の手品に出会わせる大切な居場所(受け皿)であると語りました。
一期一会の出会い: 手品と出会う感動は「生涯で一回限り(1回限り)の衝撃」。柏マジッククラブの発表会(さわやかちば県民プラザホール等)のように、子どもたちがリアルな手品に触れ、礼儀や人間関係を育める場を守り続ける意欲を示しました。
【写真:岡村真衣】
■第13回 第2部③ パネルディスカッション『子どもの心を掴む演出とキャラクターの力』(太田圭介)

「第2回マジックフォーラムTOKYO」の第2部パネルディスカッションより、松戸奇術会で活躍される太田圭介氏の発表内容をご紹介します!
地域イベントや家族での体験談を通じ、手品(てじな)本来の不思議さだけでなく、子どもが親しみやすい世界観やキャラクターを取り入れた演出の重要性が語られました。
💡 発表の主要ハイライト
1. ディズニー・ライブに見る「世界観」と手品の役割
キャラクターとの繋がり: 家族で観に行った「ディズニー・ライブ ミッキーのマジックワールド」では、子どもたちは手品そのものだけでなく「大好きなミッキーに会えること」を楽しみに来ていると分析。手品は世界観を深め、キャラクターとの絆を演出する最高の手段として機能していました。
五感を刺激する工夫: ライトを当てるとミッキーやミニーが浮かび上がる大判プログラムなど、子どもの心を惹きつける仕掛けの凄さに感銘を受けたエピソードが紹介されました。
2. 子どもが大喜びする演目演出:『チョップカップ』の工夫
カップから飛び出すキャラクター: 手品師が演じる『チョップカップ』(カップとボールのマジック)のクライマックスにおいて、通常は果物や大きなボールを出すところを、太田氏は「ミッキーマウスの指人形」「アンパンマンのスーパーボール」「トトロのぬいぐるみ」を登場させます。
子どもの笑顔を生むアイデア: 子どもたちにとって身近で大好きなキャラクターが出てくることで、会場に大きな歓声と笑顔が広がる演出工夫を明かしました。
3. 演者としての喜びと地域での課題
一生の思い出になる写真: 松戸奇術会の発表会で、黒スーツにトランプ柄のネクタイという衣装で演じた後、小学生の男の子と親御さんから「一緒に写真を撮ってください!」と声をかけられ、手品で子どもに強い感動を届けられた喜びを語りました。
地域での体験の場づくり: ゲームやネットの普及により手品に触れる機会が減っている現状や、子ども会・子ども祭りでの実例に触れ、地域で生の手品を見せる場を守る大切さを訴えました。
おすすめの学び本: 気賀康夫 氏の著書『百万人のトランプ手品』(金沢文庫)や『奇術入門シリーズ トランプマジック』(東京堂出版)を初心者や子どもたちの探求におすすめの一冊として挙げました。
【写真:清水豊彦、岡村真衣】
■第14回 第2部③ パネルディスカッション『出会いから広がる世代を超えた繋がり』(中村安夫)

「第2回マジックフォーラムTOKYO」第2部のパネルディスカッションより、横浜マジカルグループ前会長で千葉大学マジックサークルOBの中村安夫氏の発表内容をご紹介します!
少年時代の田舎の夏祭りでの原体験から、1冊の本との出会い、子ども向けショーでの実践ルールや知的財産権の保護まで、長年の活動に裏打ちされた貴重な知見が語られました。
💡 発表の主要ハイライト
1. 原体験と人生を決めた「1冊の本」との出会い
お寺の特設ステージ: 小学生の頃、地元(西多摩郡五日市町)の夏祭りのお寺の境内で観たプロマジシャンのショーが原点。
「自分もやってみたい!」と心に強く誓った瞬間でした。
『頭の体操』と進路の決定: 中学生の時、大ブームとなった多湖輝 氏の『頭の体操 第1集』(1966年)と出会います。
著者の多湖先生が千葉大学助教授でマジックサークル(CMC)の顧問だと知り、「千葉大に行けば多湖先生に会えて手品ができる!」と千葉大学進学を決意しました。
2. 子どもマジックショー「演じる前の3つの約束」
長年の子ども向けショーの実践から、子どもたちに手品を最大限楽しんでもらうための「3つの約束」を提示しました。
🚫 「立ち上がらないでね」(理由:後ろの人が見えなくなってしまうから)
🚫 「道具を勝手に触らないでね」(理由:手品が続けられなくなってしまうから)
👏 「不思議だと思ったら拍手してね!」(理由:参加を促し、会場のボルテージを上げるため)
3. 集中力に合わせた演出と演者の喜び
15〜20分制限と視覚的演目: 子どもの集中力は15〜20分が限度であり、スポンジボールやカメレオンシルク、リンキング・リングなど、一目で現象が伝わる単純で視覚効果の高い演目を選ぶ大切さを解説。
牧師からの感謝の手紙: 教会で子どもショーを行った後、牧師から「子どもたちが大喜びだった」という感謝の手紙が届いたエピソードを紹介。「気をつかって大変だが、うまくいった時の喜びは計り知れない」と演者としての醍醐味を語りました。
4. おすすめの文献と知的財産権(特許)への取り組み
おすすめのキッズショー書籍: ニューヨークの専門家デビッド・ケイ 著『マジシャンのための ウケるキッズ・ショーの作り方』(スクリプト・マヌーヴァ)を良書として推薦。
特許と権利の保護: MN7で取り組んできた「マジックと知的財産権・特許」の研究会や、70以上の問答をまとめた「Q&A」を通じ、手品の文化的価値や著作権を守り未来へ繋ぐ活動をアピールしました。
【写真:岡村真衣、清水豊彦】

4人が語る『未来のマジック愛好家を育む3つの柱』
「第2回マジックフォーラムTOKYO」第2部の4名の登壇者(渋谷剛一、太田圭介、中村安夫、門間裕史)による全体討論の模様をご紹介します。
テーマは「未来のマジック愛好家を育むために」。
時代がデジタル・AIへと変化する中で、子どもたちにマジック(手品)の魅力をどう伝え、どう育んでいくべきか、3つの切り口(柱)で白熱した議論が交わされました。
■ 討論の3つの柱と主なハイライト
【出会い】一生に一度の衝撃と「常識外の楽しさ」
・不可解な現象との遭遇:学校の授業で教わる「常識的・論理的思考」に対し、手品は「常識外の楽しさ」や秘密の世界を見せてくれる体験。その原体験(体育館の鑑賞会、デパートの実演、夏祭りの境内など)は、一生心に残り続ける強い記憶となります。
・挫折から「本物」への感動:門間氏は高校時代、本で挫折した技もデパートの実演を見て「本当にできるんだ!」とギャップを感じてハマった体験を告白。リアルな「生の出会い」が持つインパクトの大きさが共有されました。
【学び方】本 vs ネット・AI時代における「試行錯誤」と「マナー」
・「試行錯誤」の重要性:太田氏・中村氏は、昔は本(文章とイラスト)を相手に「どうやって指を動かすのか」を自ら試行錯誤して工夫を育んだと指摘。良書との出会いの大切さを説きました。
・動画・ChatGPT時代の課題:現代の子どもはYouTubeで技を学びがちですが、変な手付き(自己流の癖)を覚えやすい課題があります。さらに門間氏は、ChatGPTで即座に答えを求め想像する「余白」が少なくなっている傾向を挙げました。
・知的財産権とマナー:渋谷氏・中村氏は、Webで学ぶ時代だからこそモラルやマナーが不可欠であるとし、MN7での「マジックと知的財産権(著作権・特許)」の取り組みなど、文化と権利を守る教育の必要性を訴えました。
【受け皿】地域マジッククラブとコミュニティの役割
・地域クラブの歴史:日本には松戸奇術会や横浜マジカルグループ、柏マジッククラブなど、長年の歴史を持つ社会人クラブが存在します。
・群れない時代における「居場所」:現代の子どもは1人で完結しがちな傾向がありますが、地域の社会人クラブが「生のパフォーマンスを見せ、温かく迎え入れる居場所(受け皿)」として常に門戸を開いておくことの重要性が語られました。
【写真:岡村真衣、清水豊彦】

「第2回マジックフォーラムTOKYO」のフィナーレを飾った会場からの質疑応答(Q&A)セッションと、閉会のご挨拶で交わされた貴重なやり取りをご紹介します。
会場からは、子どもたちの成長に伴う心理変化、30年前と現在の子どもの比較、そしてコミュニティを長年継続させるための具体的なヒントなど、本質的な質問が寄せられました。
■ 質疑応答の主なハイライト
質問1:成長(高学年)に伴い、子どもたちの手品に対する意識はどう変わるか?
河合勝 氏:幼児期に手品が好きな理由は100%「面白いから」であり、「不思議だから」という理由は出ません。小学生・高学年になると「不思議だから」や「演者がすごい人だから」という認識へ変化します。また、高学年になると他の趣味や習い事など関心が多岐にわたるため相対的な数値は変わりますが、手品の本質的な魅力が失われるわけではありません。 ・エピソード:保育園での公演後、園児に「今日何が一番面白かった?」と尋ねたところ「おじさん!」と即答されたという、心温まるエピソードも明かされました。
質問2:30年前と現在で、子どもたちの反応に違いはあるか?
河合勝 氏:「子どもは昔も今も変わらない。純粋そのもの」。面白ければ身を乗り出して注視し、面白くなければざわざわする本質は同じです。手品はデジタルではなく「アナログな対話」だからこそ、掛け声(「ワン・ツー・スリー」など)を通じて演者と子どもの間に心が通い合う交流が生まれます。 ・心に残り続ける体験:保育園で手品を見た子が13年後に大学で「あの時の手品のおじさんですよね」と覚えていて声をかけてくれた体験が紹介され、手品が子どもの感性に長く刻まれることが語られました。
質問3:手品に出会った人が離れず、愛好家として活動を継続するにはどうすればよいか?
・門間氏:定期的に「成果を見せる場(舞台や発表会)」があることが継続の大きな原動力になる。
・渋谷氏:マジックをやめる3大きっかけは「進学・就職・結婚」という環境の変化。しかし、最初に受けた感動が強烈であれば、一度離れても必ず戻ってくる。柏マジッククラブでは「休会制度」を設け、数年のブランクがあっても再び舞台に復帰できる温かい仕組みを用意していると回答しました。
■ 閉会のご挨拶:山田征礼氏
閉会にあたり、MN7結成時から共にマジックの発展に尽力し5月に逝去された小野坂東(おのさか・あずま/トンさん)氏への深い感謝と追悼が捧げられました。 また、朗読や司会を務めた藤城亜砂氏が新メンバーとして加入したことが発表され、未来へ向けて手品の不思議と夢を届けていく誓いとともにフォーラムが幕を閉じました。
【写真:岡村真衣、清水豊彦】

16:16 すべてのプログラムが終了しました。ご来場いただいたみなさま、ありがとうございました。
【写真:岡村真衣、清水豊彦】

会場の撤収を終えた後、2階のレストラン「こよみ」にて、打ち上げ懇親会を開催しました。
Dr.レオンさん、和田奈月さん、下村知行さん、石田隆信さん、鈴木昭弘さん、加藤潮さんにもご参加いただき、イベントの成功を皆さんとともに喜び合いました。
当日の苦労や思い出話にも花が咲き、和やかな雰囲気の中で、楽しいひとときを過ごしました。
【写真:中村安夫】


