“Sphinx Legacy” 編纂記 第14回

加藤英夫

今回は、新聞でのマジックの種明かしの例を紹介いたします。

“Popular Mechanics”は月刊誌ですが、新聞にも種明かしが連載された例があります。”The Roanoke Herald”には週にいちど、マジックの種明かしをメインにした、タバコの’Camel’の広告が現れ、マジック界が騒然となるほど問題となりました。以下は’Levitation’を使用した号です。1ページのほぼ全体を使った広告です。

他の号の広告のイラストを見ると、あたりかまわずイリュージョンを種明かししているように見えます。

最初に引用したページの’Levitation’には、つぎのような解説文が書かれています。

この古典的なイリュージョンには色々なやり方がありますが、ひとつのやり方では、女性の肩にハーネスがつけられていて、それが舞台の床から上がってきたピストンにはめられます。ピストンがさらに上がると、女性が宙に浮いていくように見えます。ピストンが観客から見えることはありません。その前面には鏡が置かれていて、背景を反射するので、何もないように見えるのです。マジシャンは輪を女性のまわりにくぐらせますが、輪には切れ目があるのです。

ほとんどのイリュージョンについて、このように嘘の説明がつけられているのです。このような説明を読んでも読者は「なるほど」と納得することもなければ、面白いとも思わなかったのではないでしょうか。

ここまでに様々なマジック種明かしの問題を見てきましたが、アメリカのマジックの歴史の中には、まだまだ色々なタイプの種明かし問題が発生します。これからもそれらを取り上げていきます。

(つづく)