第19回「他人の意見を聞こう」

第1回石田天海フォーラム(2015/4/19)より

中村安夫

石田天海『奇術演技研究メモ』より

「演技ができあがったら、クラブ員や講師に見せて、感想を述べてもらうようにする。
そして悪いところがあったら指摘してもらい、どのように直せばよくなるかを明らかにしてもらう。多くの場合、欠点は指摘できるが、こうすればよくなると教えてくれる人は少ない。これを聞きだそうとするには熱心にたずねるということが大切である。」
「なるほどと思った話は、その場でちょっとメモしておき、あとでできるだけくわしく記録するとよい。私は、「なになにの席で、何氏の話」という書き出しを付けておく。ただ私の悪い点は、つい年月日を付け忘れることにある。」
「いくつかのアイデアがあれば、奇術に組み入れることで力強い奇術にもなるし、また創作や改作を工夫するよい材料にもなる。」
「自分の芸に対して、批判されたり、反対の意見を述べられると、顔色を変えて食ってかかる人がいる。そんな人は自分の腕を買いかぶった、うぬぼれが強い井の中のかわずだ。」
「他人の批評は素人でも必ずどこかに良いところを見つけているから、決してそれらを軽視せず静かに考慮して見る価値がある。
しかし、考えた結果それが無理な注文であったなら、たとえ講師の言といえども採用する必要はないが、よいことだと思えたら、すみやかに改めるだけの熱意と雅量をもちたいものだ。こうした反省と改善を繰り返すことによって奇術のルテンは改良され、演技はだんだんと進歩して、ついにはその人独特の持ち味と色合いが出来てくることになる。」

【コメント】

天海師の他人の意見を聞く姿勢や、丹念にメモを取って、創作や改作を工夫する材料とする考えは傾聴に値します。「雅量」という言葉は馴染みがありませんでしたので、辞書を引くと「人の言動をよく受け入れる大きな心。また、度量の大きいこと。心の広いこと。」と説明されていました。

数千ページに及ぶ天海メモは奇術界の総力をあげて研究すべき宝物だと思います。

(2021/7/18)

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